オンライン診療の得意領域とは

以前、オンライン診療が新興感染症に向いていないという見解について述べましたが、

現状に対する不満ばかり言っていても生産性がないので、逆に現状でオンライン診療はどういった患者さんに貢献することができるのか、について改めてまとめておきたいと思います。

端的に言って、オンライン診療は「慢性疾患向き」の診療スタイルです。

「急性疾患向き」の対面診療とは趣を異にします。何らかの原因で病態をこじらせてしまっている状態に対してゆっくりと時間をかけて解きほぐす作業にオンライン診療は適しています。

もっと具体的に言えば、以下の人はオンライン診療が適している可能性があります。

・症状があるのに病院で検査しても異常なしと言われる人
・長いこと悩まされている症状がある人
・自分が希望する治療があるのに主治医が理解を示してくれない人
・増え過ぎた薬を何とか減らしたい人
・自分では何とかしがたい心の問題を解決する手立てがほしい人

いずれも病態がこじれてきているからこそ、起こってくる現象だと言えます。

現在の病院を中心とした医療体制の中では保険診療によって受診のハードルが下げられている環境もあいまって、

3分診療、5分診療などという言葉でよく知られているように、多くの患者が病院に押し寄せて、救急医療を始めて多くの医師がゆっくりと時間を患者の病態を紐解くということが行われていない実情があります。

よしんば患者をみる時間が確保できたとしても、EBM(科学的根拠に基づく医療)の名の下にデータ絶対主義と化した現代医療の中で働く医師が、患者の生活行動や価値観・心理的背景に注目して病態を紐解いていくアプローチがとられることはまずありません。

そのような患者自身の中にある病気のこじらせ要因に対して、患者自身が主体的に動く必要性を感じやすく、なおかつ十分な診療時間をかけることのできるオンライン診療においてはアプローチしやすいのではないかと思います。

さらに言えば慢性疾患を整えることは急性疾患の予防にもつながります。

新型コロナウイルス感染症が基礎疾患がある人において重症化しやすいという話を聞かれたことがある方も多いのではないかと思いますが、

慢性疾患とは身体の一定のシステムが過剰適応または消耗疲弊している状態のことを指すことですので、

これは感染症という突発的システム稼働イベントに対応しにくくなっている状態を示しています。

感染症による急性の病態悪化を乗り切れるようになっておくためにも、

オンライン診療はひとつの選択肢として考慮されるべき選択肢であると私は考える次第です。

たがしゅう

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