オンライン診療に適していないケース

当クリニックでも6月よりオンライン診療を保険診療で行えるように体制を整えましたが、

今のところ保険診療を導入したからといって、患者さんの数が増えるようなことは起こっていません。

一方で厚生労働省のオンライン診療に関する検討会の資料によりますと、初診解禁となったコロナ時限措置から1年経過した2021年4月末時点での、オンライン診療を初診から行うことができる医療機関は全体のわずか7.1%です。

電話再診も含めてオンライン診療が可能な医療機関でみても15.2%と、医療業界がコロナ時限措置を踏まえてもオンライン診療に対していかに消極的かということがうかがえます。

そんな状況ではオンライン診療にはどのようなメリットがあるかを伝えて、多くの人にオンライン診療のハードルを下げてもらうよう働きかけたくなるところですが、

ここは逆転の発想で、私が思う「オンライン診療に適していないケース」を紹介することで、どのような時にオンライン診療を利用すべきかというイメージを明確にしていきたいと思います。

 

【オンライン診療に適していないケース】

①薬だけを漫然ともらい続ける

よくオンライン診療は隙間時間に受診して待ち時間もないから、

忙しいサラリーマンや子育て世代に適した診療形式だと紹介されることがあります。

勿論、そうした世代がオンライン診療を利用すること自体は私も大歓迎なのですが、

「ただ薬を処方してもらうだけ」のためにオンライン診療を利用されるのはあまりおすすめしません。特に西洋薬の場合はなおさらです。

なぜならば薬を飲み続けるという行為には決して終わりが来ないばかりか、飲み続ける時間が長くなればなるほど身体が酷使され続けて病気がこじれていってしまうからです。

私も保険診療を導入して患者さんが薬の処方を受けるハードルを下げましたが、それは「どんどん薬を飲んで下さい」という意味ではありません。あくまでも患者さんの選択肢を増やしたに過ぎません。

オンライン診療では医療者側での副作用チェックもどうしても甘くなりがちです。むしろ主体的に自分で自分の体調をみてもらうかどうかが副作用を予防するための最大の鍵です。

オンライン診療ではそうした指導を行いながら、副作用を未然に防ぎつつ、同時並行で薬を飲まなくても済むようになるように食生活指導やストレスマネジメント指導を行います。

この「薬はあくまでも一時的な緊急避難策」という認識なくしてオンライン診療でただひたすら同じ薬の処方を受け続けることはトラブルのもとです。

 

②病気について細かく調べたい

まず「病気を調べてもらう」という医者に委ねる発想がオンライン診療には不向きです。

オンライン診療では基本的に検査はできません。従って病気の診断は基本的に困難です。むしろオンライン診療では病気の診断はできないと思ってもらった方がよいでしょう。

逆に言えば、オンライン診療では病気の如何はあまり問題としません。病名が何であれあくまでも今の状態がどういう状態にあるかを問診で可能な限りわかるところまで掘り下げて、考える可能性を色々考慮しつつ、改善に導く最善の行動をアドバイスするという診療スタイルです。

病気の改善についてじっくりと相談することはできますが、調べるというのはオンライン診療において適切な態度とは言えません。

 

③急な病気に対処してもらう

いくら便利だからといって、オンライン診療を急性疾患に用いるのはあまりおすすめできません

システムが普及し今でこそ保険診療であれば、全国の多くの薬局がオンライン診療に対応できるようになり、

「0410対応」と呼ばれる仕組みを活用することによって、薬局から患者さんの自宅まで薬を郵送してもらうことができるようになりました。

しかしながら、それでも薬が届くまで1-2日のタイムラグがありますし、土日を挟めばそれ以上時間がかかってしまうこともあります。

そうなると、オンライン診療を行った時と実際に薬が届くまでの間で病状が変わってしまい、使用すべき薬が違ってきてしまうかもしれません。

あるいは救急的な病態に進展してしまい、こんなことならさっさと病院に受診していた方がよかったということにもなりかねません。

ただ、オンライン診療で急性疾患に対応すべき例外的な状況があります。それは何を隠そうコロナです。

実は今コロナ疑いで病院を受診するのは色々な意味で問題があります。

発熱外来というのを設置している病院でしか対応できませんし、その発熱外来では間違いなくコロナPCR検査を実施されます。

コロナPCR検査は実に問題の多い検査で、大きな問題の一つに「死んだウイルスか生きているウイルスかを区別することができない」ということがあります。

ということは発熱外来で受診して、仮に死んだコロナウイルスがくっついているだけの状況だったとしても、発熱の原因は別であったとしても、コロナPCR陽性と出ればコロナと扱われてしまい、最低でも自宅隔離処置を受けてしまうことになります。

そうなると本当はただの風邪だったかもしれないのに2週間隔離を受けることになってしまい、これは仕事や子育てなどに大きな支障をもたらします。

そうなるくらいだったら、コロナPCR検査を行わずに発熱疾患に対応できるオンライン診療を、数日薬が遅れたとしても利用することにはメリットが多少あるかもしれません。

 

以上、代表的な【オンライン診療に適していないケース】を紹介してきましたが、逆に言えばそうでなければオンライン診療を利用できる可能性があるということです。是非参考にしてもらいたいと思います。

とは言え、新しい文化が定着していくのはえてして時間がかかるものです。あせらずにじっくりとこの領域を耕しておきますので、時機が来れば是非ともオンライン診療を選択肢の一つとして考えてもらえればと思います。

 

 

たがしゅう

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