自分の診療情報は知ってしかるべき

以前、当ブログでオンライン診療医が診療情報提供書を書くことの難しさについて書いたことがあります。

一方で、実際オンライン診療をやってみて、診療情報提供書を書くというニーズは割とあるように思います。

どの患者さんも自分の受けたい医療をそのまま正直に医者に伝えられれば、それが一番いいのですが、

どうしても従来の常識が邪魔をして、少しでも型破りな提案をすると、多くの医師はそれを医療知識のない素人が思いつきで提案しているような状況と捉えてしまい、

直ちにその患者さんの訴えを是正しようと試みて、結果的に患者さんの希望がうまく通らなくなっているように思います。

そのような「素人の思いつき」という誤解を解くために、また従来常識からそれほど外れないような意図を伝えて、相手側の医師に理解してもらいやすくなるように私は文章表現を考えて紹介状を書くようにしています。

そして私はできあがった文章を郵送する前に、患者さん自身にメールやチャットでその文章を見てもらうようにし、

どのような意図で相手の医師へ診療情報提供を行うかという趣旨を事前に共有し、納得してもらった上で書類を発行し郵送するようにしています。

その作業を繰り返していてふと私は気づきました。

「そういえば、今までの紹介状(診療情報提供書)で文章を患者さんに事前に見てもらうことなど一度もしたことがなかったな・・・」と。

考えてみればおかしな話です。書いた文章は患者さん自身の内容についてであり、患者さん自身も医師が自分をどのように評価し、相手側の医師にどのように伝えているのかという文章は知りたいと思っては不思議ではないはずです。

ところが実際は慣習というルールの名の下に、診療情報提供書の内容を患者さんが目にすることは一切なく、あくまで医療者同士の情報のやりとりということに終始している状況です。

一方の患者さん側からも、「その紹介状にはどのような文章が書かれているのか見せてもらえませんか?」と尋ねられたことは私の医師人生の中で一度もありません。

そこには「医師どうしの難しい情報のやりとりだから自分がみてもしようがない」とか「何がどうであっても先生にお任せするしかない。自分はまな板の上の鯉だ」という患者意識も根強くあるのではないかという気がいたします。

つくづく受動的医療の文化が染みついた状況であると感じます。

自分の診療情報を自分の手にして管理していくという当たり前の習慣を多くの患者さんへ伝えていく必要性を強く感じています。

たがしゅう

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