私が保険診療ではなく自由診療でオンライン診療クリニックを開設する理由を整理したいと思います。
その理由は大きく3つあります。
まず「治療のリスクをコントロールすることができる」というのがあります。
保険の中で扱われている薬は基本的にリスクが高い薬だという認識が私の中であります。
これは漢方を勉強していると感覚的にもわかることですが、
漢方薬のような複雑多成分系の薬と違って、いわゆる西洋薬のような単一成分抽出系の薬は、
身体に急峻な代謝システム変化を与え続けるので、代謝のバランスが乱れて歪みを生じて副作用を起こすことが多いのです。
また私は保険医療の中で認められていないホメオパシーという医学に一定の可能性を感じています。
このホメオパシーを医療で用いるには現状自由診療しかないわけですが、
保険医療の枠組みの中で自由診療を行うのはできないわけではないですが、ルールを守らないと混合診療として禁止行為に該当してしまうため、
保険医療よりも完全自由診療の中で行う方が誤解も受けにくいですし、ホメオパシーの可能性を心置きなく突き詰めることができるようになります。
それにもし今後ホメオパシー以外でも常識にとらわれず保険外で私がよいと思う医療があれば、
それを取り入れやすいスタイルだというのも都合がよいです。
あとは、漢方薬が保険で認められているのに、完全自由診療だと薬剤の費用が保険での負担額より高くなってしまうデメリットがありますが、
そこは漢方薬の中でもより難易度の高く保険適応にはなっていない煎じ薬に手を出して、自由診療に合う形へ変えてもいいと思っています。
なお、もしも保険で認められている西洋薬や漢方薬を自由診療クリニックで望めば10割負担となってしまいますが、
それでもウチで処方してほしいという患者さんが万が一おられたら対応するつもりです。
二つ目は、「オンライン診療の枠組みを広めたい」という理由です。
2018年4月からオンライン診療が、一定の条件を満たせば保険診療として認められることとなりましたが、
その一定の条件というのが、ユーザーの立場に即していない守りの姿勢に徹した条件なのです。
例えば目安として緊急時には30分以内に来院できる距離でしかオンライン診療をやってはいけないですとか、
3回に1回は必ず対面診療を挟まなければならないですとか、
患者の立場で考えると、非常に使いにくい条件が要件として課されているのです。
これらは新しい医療でなるべくトラブルを避けようとする国や医師会の意向があるというのは理解できますが、
オンライン診療のデメリットは患者側が了解するのが前提で、その上で利用したいと思うかどうかが患者側に委ねられるべきだと私は考えます。
少なくとも私はトラブルを避けようとするがあまりメリットを生まない保険診療でのオンライン診療よりも、
トラブルのリスクはあるけれども、それを補って余るほどのメリットを提供しうる自由診療でのオンライン診療の方に魅力を感じたので、
自由診療でのオンライン診療クリニックの開設を決意した次第です。
ただし自由診療でも好き勝手にオンライン診療をやっていいというわけではなく、
やはり国から「原則初診は対面診察」など最低限の遵守すべき事項が定められていますので、
そこの節度は守りつつ、オンライン診療の可能性を模索していきたいと考えています。
最後に、この理由が正直一番大きいですが、「一人で始めることができる」からです。
オンライン診療での診察はビデオ通話を通じて接触的アプローチを行わないので、必ずしも看護師がいなくても診療可能な仕組みです。
また保険診療でクリニックを開けば、保険診療に伴う様々な事務作業、書類作成など、
今まで医師の仕事しかやってきたことのない私にはとてもではないですができません。
しかも普通の診療を行うのならまだしも、オンライン診療という新分野で患者数がどうなるのか見込みにくい中で、事務員を雇う金銭的な余裕もありません。
でも自由診療で料金体系をシンプルにして医療を提供する分には私一人でも運営できるかもしれないと考えたことが、
私が自由診療でオンライン診療をやろうと思った最大の理由です。
それに私が経営のいろはを学ぶにも、シンプルな形態からスタートして自分が一連の流れを経験する方が、
将来人を雇う時にも、どの仕事をどれだけ任せるかという役割を考えやすいのではないかと思うのです。
私にとってはかなりの冒険だし、本当に実現できるのか今でも不安で仕方がないですが、
今までにないこの新分野の開拓に、不安に負けないくらいの大きなやりがいを感じたため頑張ってみようと思いました。
そしてゆくゆくはこの活動が医療の自由化へとつながり、
保険診療の概念に縛られることなく、誰もが受けたい医療を自由に選べる世界が来ることを心から願っています。
その大きな目標を旨に私は自由診療のオンライン診療クリニック開業という第一歩を踏み始めたいと思います。
たがしゅう