普段の診療をしているとたまにこういう場面があります。
高齢の患者さんが近所で鍼きゅうの治療を受けたいのだけれど、
医者に同意書を書いてもらわないと受けられないので書いてもらえないかという相談です。
私はこういう依頼があった時には断ることなく同意書を書くようにしているのですが、
医者の中には鍼きゅうのような治療で何かトラブルがあった時に責任が持てないというようなスタンスで、
頼まれても断固として同意書を書かないという人も結構いる印象があります。
もし医者が鍼きゅうの同意書を書いて、患者さんが鍼きゅうを受けて、
もしもトラブルがあった場合に同意書を書いた医者を訴えるという非常識なことを患者も鍼灸師もまずしないのではないかと思いますし、
むしろ医者側から鍼灸師へ注意事項があれば伝達できるなど、勝手に鍼きゅう治療を受けられるよりよほどメリットがあると思うのですが、
医師の中にはとにかく鍼きゅうのような治療を自分の責任が及びうる範囲に置きたくないという人もいるのですよね。
この状況で私が一番問題だと思っているのは、
鍼きゅうのことをよくも知らない人間が、鍼きゅうのことをイメージだけで頭ごなしに否定しているという構造です。
なぜそんな短絡的なことをするのかと言えば、医師が学んでいる事が優位にあるという傲慢やプライドがあるからではないかと私は思います。
鍼きゅうのことを知っていて否定するのであればまだしも、
ろくに知らないのであれば、頭ごなしに否定せずに、せめて判断を保留にしつつ、知ろうと努力をしてしかるべきではないでしょうか。
もしそんな浅はかな理由で同意書が書いてもらえず、受けたい治療が受けられない患者がいるのなら、
もしオンライン診療でそんな患者の力になれるのだというのなら、
私はオンライン診療でも積極的にそうした書類を記載していきたいと考えています。
「自分の知らない文化を知ろうと努力をすること」
オンライン診療を通じて行う主体的医療の基本中の基本です。
たがしゅう