いつ誰に見られていたとしても

これは厳密にはメリットになるのか、デメリットになるのかよくわからないのですけれど、

オンライン診療では患者の隣にこっそり第三者がいても医者がその存在に気付かない状況を作ることが可能となります。

例えば、精神的な問題のあるこどもの患者さんをオンライン診療でみる場合に、

対面診療であれば親御さんなど保護者の方がその場に同席されると思いますが、同席されるとこどもの本音が出なかったりですとか、

あるいは医者側も保護者の存在を気遣って、患者さんにかける言葉も、良いか悪いかは別として、ある程度選択するというバイアスがかかるかもしれません。

要するに保護者同伴だと本来的な診療の流れからは修飾された形の診療が展開される可能性が否定できないということです。

さりとて本来的な診療を行いたいして保護者に席を外してもらって医者と患者と一対一で診療を行うということを行ってしまうと、

保護者の方は実際的にどのような診療が行われたのかという情報を本人や医師からの又聞きの話からしか聞くことができません。

そうした場合にオンライン診療を患者本人に受けさせつつ、実は画面に移らない隣の場所で保護者が同席していれば、

医者に気付かれることなく、普段どんな診療が行われているのかを、非常に自然な形で保護者の方は確認をすることが可能です。

見方によっては盗み見をされているようでもある話ですが、

保護者としては当然沸き起こるニーズだと思いますし、お子さんとしてもそばに保護者の方がいてくれるだけで心強いと感じられる側面もあるかもしれません。

一方で医者側の感覚としてはそうした人がいるかもしれないという存在を気付く術がない以上は、

このことはさながらお天道様に見られているような感覚で診療に臨むことが行われやすいという特徴となるかもしれません。

誰が相手であろうと、その場に誰が同席していようと、同様の診療内容が施されるべきですが、

ことコミュニケーションの観点で言えば、医者も人間ですので、その場に誰がいるかによってコミュニケーションの質は良くも悪くも変化して然るべきです。

しかしオンライン診療においては上述の内容を踏まえると、誰に見られていたとしても何一つ恥じることのない診療内容を普段から心がけておくインセンティブが働くことになり、

より公明正大な気持ちで診療に当たることができるような気がします。

勿論それは普段から対面診療の場でも繰り広げられないとならないと思われるであろうことはわかりますが、

一方で医師も弱い人間だということで、オンライン診療はそうした弱い人間の癖がある意味で人為的に矯正されうるシステムなのかもしれません。

たがしゅう