オンライン診療の何が危ないのか

オンライン診療について話し合っていると「(安易に広めるのは)危ないんじゃないか」というリアクションをされる医師がいます。

その「危なさ」とは具体的に何のことを指しているのか、について思考を深めてみます。

真っ先に思いつくのは「オンライン診療では急変時に対応できない」ということが挙げられると思います。

確かに急に状態が悪化した場合に対面診療であれば、「直ちに受診して下さい」という指示を出すことがありますが、

オンライン診療では、病状や距離にもよりますが対面同様に直接受診を促すのが難しい場面がありうると思います。

ただ重要なのは、「その急変はオンライン診療によって起こったことで、対面診療であれば起こり得なかったことなのか」というところです。

急変の理由が施した医療に起因するというのは、例えば処方した薬に対するアレルギー反応をきたす場合が挙げられます。

このことはオンライン診療ならではの起こることでしょうか。あるいは対面診療にしていれば防ぎ得た事態でしょうか。

そうではないことは明白です。また発生後の対応もまずはその薬の服用を止めるよう指示するところまでは共通します。

その後は症状の程度にもよりますが、対面診療であれば直接来院を指示し、抗アレルギー薬の投与などの直接的処置を行うという選択肢があります。

一方であまりにも距離が遠すぎる場合のオンライン診療では、そのような直接的指示を行うことができません。その点においてはオンライン診療は不利です。

ただし症状の程度が激しい場合、あるいは休日・夜間など対面診療しているクリニックが
必ずしも対応できない場合は、対面診療のでも対応しきれず救急要請を指示する場合もあります。

この点はオンライン診療でも同等ですが、休日・夜間の場合はオンライン診療ではチャットによる補助コミュニケーションで当座の相談を行うことができます。その点はオンライン診療の方が有利です。

そして救急車を呼び救急指定病院への入院という対応となった場合は、オンライン診療であっても、対面診療であっても、後日その病院から連絡があり、診療情報のやり取りを行うという流れになると思います。

今のは医療行為に起因する急変となりますが、医療行為に起因しない場合の急変の場合であっても、

基本的には起因する場合と同様に、

軽症なら考えられる原因と対策を説明→オンライン診療でも対面診療でも対応可。
中等症なら考えられる原因と対策を説明しつつ、必要に応じて直接的処置(対症療法)を実施→オンライン診療では不利、対面診療では有利(休日・夜間は一部オンライン診療が有利)
重症ならとにかく救急要請指示→オンライン診療でも対面診療でも対応不可

という構造が成り立つのではないかと思います。

大事なことなので繰り返しますが、「その急変がオンライン診療のせいで起こるのではない」ということであり、

「急変時の対応が対面診療よりオンライン診療の方がやや不利」ということだということです。

ということは冒頭の「危ないんじゃないか」という不安も、具体的には「オンライン診療をすることによって発生する危険」に対してではなく、

「急変が起こった時に十分な対応がしきれない可能性が高くなること」に対する不安だと認識すべきだということになります。

ということは、医師がこのことを心配するのであれば「オンライン診療はやめましょう」ではなく、「急変の可能性を最小限にするにはどうすべきか」と行動すべきであって、

医師側の筋違いな不安によって患者側のオンライン診療利用が差し止められるべきではなく、このオンライン診療の構造上の欠点を理解した上で、利用するかどうかが患者側に委ねられるべきだと私は思います。

急変時対応の不足を不安に感じる患者さんはオンライン診療を利用しなければよいですし、その欠点よりもオンライン診療医に診てもらうメリットの方が大きいと感じる患者さんはオンライン診療を利用すればいいと思います。

もっと言えば、オンライン診療医はあらかじめ急変時対応の不備がある構造を理解していますので、

より急変を起こしさないように心がける意識が対面診療医よりも強い可能性があります。

具体的には西洋薬を極力使わず、使うにしても一時的使用に止めるということ、

食事指導やカウンセリングなどリスクの低い対処法を基本におき、薬はよりリスクの低い代替医療的アプローチを試みるということです。

「オンライン診療はやめましょう」で思考停止している医師の治療はおそらく従来通りの一定の確率で急変は発生するでしょうから、

「オンライン診療より対面診療の方が安全」という考え方には一考の余地があるように思えます。

ともあれオンライン診療は何となく危ないという漠然とした不安によって、

オンライン診療の普及は妨げられるべきではないと私は考えます。

たがしゅう

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