ストレスマネジメント講座④ ストローク

前回までエゴグラムを通じて、自分をいかに変えるかという視点に注目しましたが、

今回は他人に対する働きかけについて注目します。その時に基本的な考えとして重要なのが「ストローク」と呼ばれるものです。

「ストローク」とは、相手の存在を認めるやりとり(働きかけ)のことですが、エゴグラムの創始者で精神科医のエリック・バーン氏は、ストロークは単なる情報伝達手段ではなく、人の心を安定させる(安らぎを与える)ものであると考えました。

さらには人はストロークがなくては生きてはいけないと、それくらい大切なものなのだという風に述べています。

そんな「ストローク」には「肯定的(ポジティブ)ストローク」と「否定的(ネガティブ)ストローク」とがあり、それぞれに言語的なものと非言語的なものとがあります。

①肯定的ストローク(言語的なもの)
あいさつをする、励ます、感謝の意を表する、ほめる、「好き」などの直接的な言語表現

②肯定的ストローク(非言語的なもの)
なでる、握手する、抱きしめる、手をつなぐ、肩をもむ、微笑む、贈り物をする、手を振る、うなづくなど

③否定的ストローク(言語的なもの)
叱る、注意する、嫌みを言う、「嫌い」などの直接的な言語表現

④否定的ストローク(非言語的なもの)
舌打ちする、にらむ、見下す、無視する、殴る、蹴る、突き飛ばす、押さえつける、ひっかくなど

私達は人と接する時にこうした「ストローク」を無意識的に行っていたりしますが、重要なことは人は誰でも生まれながらにして無条件の肯定的ストロークを求めている、ということです。

無条件の肯定的ストロークをくれる人には誰しも心を開き信頼をおくようになるものです。

ところが生きていていつも無条件の肯定的ストロークばかりを用いるというわけにはなかなかいかないものです。それはそれをやろうとすることを想像するだけでも難しいという事からもよくわかると思います。

ですが肯定的ストロークを基本におき、一見否定的としか感じられない相手に対しても、その人の肯定的な部分を見つめるようにして、なるべく肯定的ストロークを繰り返すという行動をとることで、

相手の心を動かし、行動変容へとつながる可能性を生み出すことができます。

他人に変わってほしいけど他人を変えるということは非常に難しいことです。

しかし他人は変えられないけれど、自分の見方を変えて肯定的ストロークを繰り返すことは可能です。その自分の行動変容が結果的に他人の行動変容へとつながりうるということは参考にすべき点ではないかと思います。

また私がこれから行うオンライン診療の場合は非言語的な肯定的ストロークが使いにくいセッティングだという事も理解しておく必要があると思います。

場面的に非言語的な肯定的ストロークが使いにくいのであれば、私はその分言語的な肯定的ストロークを強調するということ、言い換えれば「肯定的な姿勢をわかりやすく相手に言葉で明確に表現する」ということが大事だと感じました。

なおここで一つ注意しなければならないことに、「条件付ストローク」という考え方があります。

これは、何かをした結果に対してストロークを行うことをいいます。

例えば、「あなたがそこにいてくれるだけで嬉しい」というのは無条件ストロークですが、

「○○してくれたから嬉しい」というのは、「条件付ストローク」になります。

条件付ストロークばかりで肯定的ストロークを行っていると、「じゃあ●●できなかった場合は自分はダメなのか」という心理に陥ってしまうおそれがあるので、

「報酬が得られないと行動しない」といったように歪んだ方向への行動変容が促されてしまう可能性が出てしまうので注意が必要です。

アドラー心理学でむやみに褒めてはいけないという考えがありますが、まさにこれは「条件つきばかりで肯定的ストロークを行うな」と言い換えることができるのかもしれません。

この点に十分注意して、相手の好ましい行動変容が促せるように、

私は言語的な肯定的ストロークの精度を高めて、オンライン診療に望みたいと考える次第です。

たがしゅう

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