オンライン診療医「たがしゅう」の自己紹介②

自己紹介を続けます。

私は自己治癒力の力を何よりも重要視するスタンスの医師です。

自己治癒力とは、誰にでも備わっている身体を安定した状態に戻すための複雑なシステムの総称を指します。

身体に何らかの変化をもたらす侵襲(ストレス)が加わると、一時的に身体は不安定な状態に陥りますが、

この自己治癒力が働いて身体は再び安定な状態へと戻るように仕向けられます。この一連の仕組みはホメオスターシス(恒常性維持)と表現されることもあります。

例えば、人間の体温は36〜37℃が身体の中での複雑な化学反応が最も安定しやすいとされていますので、

寒い環境にさらされると、身体は「寒い」と感じ、その寒さに適応しようと身震いさせたり、自律神経の働きを通じて一部の血管を収縮させ熱の放散を防ごうとしたりします。

あるいはそもそもその寒い環境から逃れようと移動したり、防寒具を使用して環境そのものを変化させようとします。

こうした一連の環境適応行動が広い意味での自己治療力だと思って頂ければよいのですが、

この精緻なシステムによって基本的にはどんなストレスが加わっても適応して元の安定状態に戻るよう仕向けられるというのが自己治癒力のすごいところです。

人間以外の動物にもおそらくこの意味での自己治癒力は広く備わっているものと思われます。

ところが、この自己治癒力を阻害する人間ならではの要因があります。それを一言で言えば「思い込み」、です。

もう少し細かく言えば「食事」と「心の在り方」における「思い込み」です。

他の動物は食べたい時に食べ、食べたくない時に食べないというシンプルな原理で行動していると思いますが、

人間のみ「1日3食食べなければならない」という思い込みの下で、食べるという行動と向き合っている場合があります。

だから本当は食べたいと感じていなくても、目の前に食べものがあって、それが過剰に食欲をそそられるようなものだと必要以上に食べてしまったり、

あるいは「栄養をしっかり摂らないといけない」という価値観があって、食べたいと思っていなくても元気をつけるために食べなければという発想で食べるという現象が人間界のみで起こります。

また本来暑さ寒さや痛み、悪臭などの原始的かつ物理的なストレスは一時的なもので、持続する場合もその環境ごと変えようと普通は行動を起こすので慢性持続的にストレスがかかり続けることはまずないですが、

人間だけが頭の中でくよくよと様々な悩みを抱え、そこに物理的なストレスが存在していないにもかかわらず、まるでずっとそうしたストレスが存在し続けているのと同じような反応を身体に起こし続けるという不思議な現象が起こります。

それらは全て人間世界の複雑な思考がもたらした「こうでなければならない」という「思い込み」に由来すると考えられるのです。

そのように本来は一時的で終わるはずのストレス反応がいつまでも終わらずに起こり続けてしまうと、

身体が自己治癒する暇がなくなってしまうために結果的に自己治療力が弱まっていくことへとつながります。

その自己治癒力が使えない時間が長くなればなるほど、「廃用」といってもともと持っていた能力が使わないことによって弱まってしまう現象をきたすのです。

だから私は自己治癒力を最大化させるために、「食事」と「ストレス」という「思い込み」の罠に陥りやすく、

なおかつその悪影響が慢性持続性となりやすい2大要因に対する改善指導を基本的な治療方針の柱と位置付けているのです。

たがしゅう