オンライン診療医と身体診察マニュアル

先日引っ越しの荷造りをしておりましたら、

読んでいない本の積み重ねの中から「内科医のための身体診察マニュアル」といった感じの本が出てきました。

私が研修医の頃に参考にしていた教科書的な本だったと思いますが、

良く考えたらこの本、今後は必要なのだろうかという風にふと考えてしまいました。

それはその本の内容を全て把握しているから今さら持っておく必要はない、という意味で言っているのではなく、

今後私が主としてオンライン診療に関わる医師として活動していくからということです。

いくら診察の技術を知っていても、相手に触れないのであれば意味のない知識です。

人間の脳に物理的な限界がある以上、覚えられることのキャパシティも限られているわけですから、

同じ覚えるのでも、より実生活で役に立つ内容を中心に覚えていく方が効率的であることでしょう。

そう考えると今後触らない診療をメインで行う私にとっては要らないマニュアル本なのではないかと思ったわけです。

そう思ってその本を捨てようとした済んでの所で思い直しました。

「それは基本をおろそかにする行為に他ならないかもしれない」と思ったのです。

オンライン診療中心に行うと言っても、初診は原則対面ですし、また調子を崩した患者さんに対しても状況に応じて対面診療を行う場面もあることでしょう。

あるいは、本業でオンライン診療をしていても、副業で対面診療をしていれば十分に使える知識です。

もっと言えば、災害時や旅行中に不調の患者さんに遭遇した時の臨時の診察場面でも使うことはあるかもしれない知識です。

勿論、使用頻度は今までの医者生活に比べてぐっと減ることにはなるのでしょうけれど、

だからと言って全く勉強しないというのは、大袈裟に言えば医者としての原点を放棄することにつながりかねないことかもしれません。

新しいことに挑戦する偉人達はおしなべて、従来のやり方にも精通した上で挑戦しているものです。相田みつを先生然り、浄土真宗の親鸞和尚然りです。

だから私も初診を忘るるべからずの気持ちでオンライン診療の世界に踏み込みたいと思います。

…でもこんなこと言っているから、私は家に本が溜まっていくのかもしれませんね…

たがしゅう

“オンライン診療医と身体診察マニュアル” に2件のコメントがあります

  1. 引っ越しの荷造り、お疲れ様です。自分の持ち物の 「これは必要か?不必要か?」の判断する時って、「自分と向き合う事」と通じるなぁ〜と思います。

    オンライン診療に挑戦する今の、これからのたがしゅう先生には、“がらくた”や“曖昧”な物は似合わないと思います。

    頭の中の数多な知識の引き出しと、思考を深めようとする意思をお持ちのたがしゅう先生なら、それこそ物が少なくても「不測の事態」を乗り越えられると思います。

    勝手を言ってしまい、失礼しました。

    「怜悧な知性を宿した綺麗な目」をお持ちのご自分を信じて大丈夫だと思います。

    ありがとうございました。

    • いわき市 さん

      コメント頂き有難うございます。

      >自分の持ち物の 「これは必要か?不必要か?」の判断する時って、「自分と向き合う事」と通じる

      本当にその通りですよね。
      そういう意味では引っ越しは改めて自分と向き合う格好の機会とも言えそうです。不要を見極めて、すっきりとした気持ちで新天地へ向かえればと思います。

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