海外のオンライン診療から感じること

先日、オンライン診療研究会という会の講演を聴講して参りましたが、

その際海外でのオンライン診療の現状について学べる内容がありました。

海外ではオンライン診療という言葉ではなく、telemedicine(遠隔医療)として認識されているようでしたが、

国によってその取り入れられ方は様々で、アメリカでは51の州で全然運用ルールが異なっていたり、

インドではAIによる補助問診機能や、30分以内に遠隔医療対応可能な医師へ紹介する遠隔医療用アプリの会社が急成長を遂げていたり、様々な様相を呈しているようでした。

中でも特筆すべきはデンマークで、この国では国民の個人情報が健康面も含めて全て電子化されることにすでに成功しているようで、

オンライン診療は普通に歓迎され、すでに医療の一部として認識されているようでした。

日本で言えばマイナンバーカードが完全に国民全員へ行き渡ったような状況でしょうか。

そんなオンライン診療先進国とでも呼べるようなデンマークでは、新たな試みとしてtelerehabilitation(遠隔リハビリ)というものが展開されてきているそうです。

これはビデオ通話画面の向こう側にリハビリの専門家がいて、患者に対してああしなさい、こうしなさいとリハビリを指導する、というものです。

この遠隔リハビリでのやり取りを見ていると、オンライン診療における主体性の重要性が際立つように思います。

なぜならば通常のリハビリでは多少うまくできなくとも療法士がサポートしてくれますし、その安心感がありますが、

遠隔リハビリの場合は、うまくできようとできまいとその場には自分しかいないから自分でやるしかないという気持ちが生まれやすいからです。

逆に言えば、ここでアドバイスを受けつつ何とか自分で自分の課題を克服していける人は遠隔医療に向いているし、

ここで専門家がその場にいないからと諦めてしまうような人は従来型の対面診療の方が向いている、ということなのでしょう。

まさにオンライン診療においては主体性が重視されるという構造が改めて理解できたように思います。

たがしゅう