コロナの影響でオンライン診療に対するガイドライン上の制約が
コロナが落ち着くまでの時限措置とは言え、大幅に緩和されるという大改革があったにも関わらず、
意外とオンライン診療を利用される患者さんの数はさほど増えていないという現場感覚については、
当ブログでも度々紹介してきたことではありますが、
2020年11月30日付けで、「オンライン診療を利用したことがある人は6%」というアンケート調査のニュースが飛び込んできました。
MMD研究所は11月30日、Web会議ツールや電話などを使って行う「オンライン診療」の受診経験者が、20~69歳の男女1万2517人のうち、約6%にとどまるとする調査結果を発表した。利用者からは「触診がなく不安」「対応の医療機関が少ない」などの声が集まった。
そのアンケートの中でオンライン診療を利用しない理由として挙げられていたものとして「触診がなく不安」というものがありました。
今まではオンライン診療への保険医療制度や厚生労働省が定めるガイドラインによる厳しすぎるほどの締めつけが、
オンライン診療の普及を妨げる最大の阻害因子だと考えていたのですが、
その制約が緩んで半年以上が経過しているにも関わらず、遅々としてオンライン診療が広まっていかない様子を見るにつけ、
どうやら普及しない理由は制約が強いことのみならず、オンライン診療自体の不十分感によるところもかなり大きいと感じざるを得ません。
実際、私のクリニックを利用される患者さんも、単回の利用で終わる方がほとんどであって、
その患者さん達が皆良くなったが故に来なくなったということであれば申し分のない医療ができているということになるわけですが、
さすがにそこまで楽観的に考えられるほどおめでたくなはないので、これはやはりオンライン診療に不十分さを感じて来なくなったと考えるのが妥当でしょう。
そもそも対面診療に比べて、使えるツールが限られているのがオンライン診療という手段です。
量的な不十分さは紛れもない事実ですが、私はオンライン診療を「患者自身が主体的に動くことを支援する医療」へと再定義することで、
むしろ依存体質を生みやすい病院での対面診療に比べてアドバンテージを生みやすい医療となる可能性を提示してきたわけですが、
いまだその価値転換を成し遂げて、オンライン診療を活用するに至っている人はそれほど多くないというのが事実だと思います。
だとすれば、この量的な不十分さのハンデがある中で、どのように患者さんのオンライン診療への価値転換を促し、納得してもらうかが極めて重要な課題となってきます。
主体性を育むことにこだわりすぎて、自由度を高めるだけではこの課題を克服することはできません。
そこで今、私が考えているのは短期集中型治療プログラムの立案です。
主体性が育まれるのはどんな時かと考えた時に、何かの課題に取り組んで、何とかうまくいって「イケるかも」と思い始めた時だと思います。
きっかけに強制力があったとしても、そこで成功体験を感じる時に主体性の芽が出る瞬間を目撃することができるかもしれません。
そうなると後はどうすれば患者さんに「イケるかも」と思ってもらうか、にかかっています。
その為の仕組みをトライアンドエラーで生み出していきたいと思います。