オンライン診療利用に複数の選択肢を

「スマホはよくわからない」という心理的ハードルの高い方にオンライン診療を導入するのは至難の業なので、

そういう方にはスマートフォンを扱うことは決して難しい作業ではないということを何らかの形でわかってもらうより他にはないわけですが、

「ガラケーしか持っていない」「クレジットカードを持っていない」などのツールの問題で当院が利用させてもらっている「クロン」というオンライン診療支援アプリが使えないという患者さんがいらっしゃいます。

これは使い方がわからないというよりは使おうと思っても使えないという状況なので、折角のオンライン診療希望なので、何とかして是正したいところです。

当院が「クロン」を利用しているのは、医療機関側の利用料が無料だという点が非常に大きいわけですが、

スマートフォンのみ対応、支払いはクレジットカードのみという条件があることが弱点となっています。

ガラケーを持っている人に私のオンライン診療を受けるためだけにスマートフォンへ変更してもらうわけにはなかなかいきません。

一方で競合他社のオンライン診療支援アプリではパソコンやタブレットからのアクセスも可能であったり、支払い形式も多様で対応できるというものもあります。

しかしながら競合他社のアプリを利用しようとすると患者の有無に関わらず決して安くはない初期費用と定額利用料がかかるため、

私のように個人で経営している弱小クリニックにとっては金銭的打撃が大きく得策ではありません。

そこで考えるのは「クロン」を使わずにオンライン診療、支払いを行う別の方法です。

考えてみれば、LINEやFacebookのMessenger機能など一般に普及しているSNSの中でビデオ通話が可能なものはある程度の選択肢がすでにあります。

あるいは「クロン」を使用しなければ、支払いは必ずしもクレジットカードでなければならない必然性はなくなります。銀行口座へ振込でもよいわけです。

しかし当院が今までそうしなかったのは、一般の汎用SNSでは、医療情報を扱うツールとしてセキュリティの面で担保できない可能性があると考えていたからです。

セキュリティに関しては厚生労働省が定めるオンライン診療に関するガイドラインの中で一定の基準が定められています。

その難しい部分はオンライン診療支援業者のシステムに任せておけばいいと思考停止に陥ってしまっておりましたが、

実際の患者のニーズをその私の怠慢のせいで損なうことのないように、今一度汎用SNSで本当にその基準を満たすことができないのかどうかを検証する必要があろうかと思います。

思考停止とは気づかないうちに起こっているものですね。

時折自分を振り返り、自らを律していくようにしたいと思います。

たがしゅう