3分や5分そこらの診療時間では患者さんが病気を発症するに至った経緯や背景を、
把握するなんて所業は到底不可能だと思いますが、
オンライン診療で完全予約制で十分に時間を取って問診をするにしても、
無計画でただ話を聞くだけでは非効率ですし、
対話の如何によっては本題からずれていたずらに時間が過ぎていくということも起こりうると思います。
限られた時間の中でなるべく効率的に病の本質へとたどり着くためには、
やはり問診票をうまく利用することか必要不可欠だと思っています。
そこで何を質問するかということが非常に重要なわけですが、
あまり細かい質問をし過ぎると、「木を見て森を見ず」ということわざの如く、
本質的なものが見えなくなってくるというジレンマがあります。
そこで私は「あなたの人生をざっくりとでよいので教えて下さい」という趣旨の質問をしたいと考えています。
これは一般の診療ではまず行わないことです。精神科ではそれに近い問診はしますが、やはり細分化された質問がなされます。
患者さん自身が自分の人生をどう捉えているかという価値観が、
病気の原因を突き止める際に非常に役に立ってくると私は考えているのです。
だから誘導尋問なしに制限なしに人生をざっと振り返ってもらうと、
価値観の重要なエッセンスが見えてくるのではないかと考える次第です。
ただ、そんな風にざっくりと聞かれても困るという方もいらっしゃるかもしれません。
そういう方へは別途細分化された問診票が必要な場面も出てくるかもしれませんが、
いずれにしても効果的な問診の仕方について、試行錯誤を繰り返しながら検討していきたいと思います。
たがしゅう
人生を読み取る。
テッドチャンの
「あなたの人生の物語」の映画、「メッセージ」を最近観たので、再読してます。
人間は時系列でした人生を捉えられないけど、それは人間の認識力の問題で、誕生から死にいたるまでフラットに認識するとすると一体何がおこるのか?それについて、書かれた小説です。
人の人生を聞いて、読み取ることは、自分の人生を時系列ではなくフラットに認識することを患者にもたらすのではないのかと期待をもちました。
たか さん
示唆に富むコメントを頂き有難うございます。
患者に人生について問うことで、患者自身が人生をフラットに捉え直す事ができるかもしれないという御指摘ですね。
問診すること自体は治療効果となるなら素晴らしいですし、それはオンライン診療の可能性を拡げる話にもつながると希望が膨らみます。