先日、対面診察でやけどに対するなつい式湿潤療法を施した小さなお子さんの患者さんが、
私に対して笑顔で抱きついてくれるという、とんでもなく嬉しい出来事がありました。
なんだそれくらいのことでと思われるかもしれませんが、この子が最初に私のもとへ訪れた時は何をしようにも泣きじゃくってしまって大変な状態でした。
やけどの治療は湿潤療法の知識があるかどうかで運命の分かれ道です。
従来型のやけど治療は間違いなく痛みを伴い、なつい式湿潤療法では処置に際する痛みがないという決定的な違いがあるからです。
私はその患者さんに地道になつい式湿潤療法を施し続けました。大きなやけどでもあり、傷が閉じるまでに半年近くかかりましたが、
毎回痛みを与えずに処置を施すということを繰り返していくことで、徐々に患者さんの信頼を得ることに成功し、
その集大成が冒頭の私への笑顔の抱きつきだと思うと、私の喜びはひとしおでした。
それと同時にオンライン診療ではここまでの喜びを得ることは難しいかもしれないとも思いました。
そう考えるとオンライン診療ができることは対面診療に劣る部分は確実にあると思います。
それでもできないことに目を向けるのではなく、その環境で自分には何ができるのかを考え続け、
新しい医療への道を切り拓いていきたいと思います。
たがしゅう