ためらう診療情報提供

オンラインクリニックを開業して、いわゆる紹介状を書いた経験はまだありません。

しかしこれから先、それが必要とされる場面に遭遇する可能性は十分にあります。

例えばなるべく起こしたくないですが、万が一患者さんが急変して救急病院に運ばれて、搬送先の病院から診療情報提供を求められる場合などですね。

ただそうした場合に私は紹介状を作成するのに正直ためらう部分があります。

というのも今まで一般の医師にオンライン診療に関して紹介状を作成した場合にあまりいい思いをしたことがないからです。

今までの病院勤務の時代であれば、診療情報提供を行うことに何のためらいもありませんでした。

それは保険診療制度下で西洋医学中心医療という皆と同じ共通ルールの中で共通言語を用いて行う情報のやり取りであったからです。

ところが今は保険診療と自由診療で制度も違えば、対面診療とオンライン診療とで行う診療内容も違いますし、

さらには私の場合、漢方薬やホメオパシー、サプリメントやアロマテラピーなどの代替医療を扱うと来たものですから、いろいろな意味で異文化もいいところです。

その価値観が大きく違う相手から診療情報提供が送られた場合、送られた側はどういう反応をすると思われるでしょうか。

私がクリニック開業前にオンライン診療を行っていた際にある医院へその診療情報を患者さんへお伝えしたところ、

患者さんから聞いた話だとその医院の医師はそんなオンライン診療など受けていることに激怒され、そのような診療を受けているような患者はもう診ないとまで言われてしまったそうです。

何がどうその医師の逆鱗に触れたのか、具体的な会話を聞いたわけではないのでわかりません。しかし良い印象を持たれなかったことだけは確実でしょう。

さらには患者さんに実害まで生じています。正直者が馬鹿を見るといいますが、正直に診療情報を書いたら患者さんが不利益を被るとはなんて馬鹿馬鹿しいことでしょう。

だから私は不本意でも、正直に書くことを謹んで、なるべく相手の感情を逆立てしないように、なおかつ真実を書き記してある文章表現を心がけなければならないのです。

なんとも歯がゆい思いですが、そんな工夫をせずともオンライン診療が立派な選択肢の一つとして地位を確立できるように、

これからも微力を尽くしていきたいと思います。

たがしゅう