気遣いではなく正直に言い合える間柄

オンライン診療だと例えば風邪の漢方薬が効いたかどうかのフィードバックを、

チャット機能を通じて気軽に行うことができるので、医者の漢方治療での手応えを得やすくなり、医師の能力の向上につながるという側面について以前触れたことがあります

しかし、その仕組みの裏には落とし穴があるということに気付きました。

それは幸運にもオンライン診療医として私が患者さんから一定の信頼を得られた場合の可能性です。

私への患者さんの信頼度が高かったら、もしも若干効きが悪かった漢方薬があったとしても、「おかげさまで薬は効きました」と表現されるかもしれません。

なぜならば、「無下に効かないと言って先生に嫌われたくない」という気持ちが働くかもしれないからです。

これによって私は確かに傷つかないかもしれませんが、私のためになっているかと言えばなっていないし、むしろ害になってしまう所が大きいと思います。

なぜならば、私は効かなかった漢方薬を効いたと解釈してしまうようになるからです。

これは子育てにおける甘やかしと同じ構造を持っているように思います。

つまりその場は確かにうまくやり過ごし、人間関係も良好に維持することができるかもしれませんが、

ゆくゆくは甘やかされた相手が間違った方向へと進んでしまうリスクが高まります。なぜならば正しい評価を受けていないからです。

従って、私のオンライン診療を受けて頂く患者さんにはくれぐれも正直であってほしいと願います。

正直に言われたことで私は傷つきませんし、むしろ正直に言ってくれた事に心から感謝します。

そして漢方薬が効かなかった経験を適切に蓄えていくことで、どうすればうまく効かせることができるかについて考えるための適切な情報を得ることができます。

とはいえ、全然効かない漢方薬治療に付き合わされる患者さんもやっていられないと思いますので、その時は効く治療を求めて別の場所を探してもらえればよいのです。

離れられることで私は何も遺恨を感じませんし、また利用したいと思う日が来れば何の気兼ねもなくオンライン診療を利用してもらえればと思います。

来るもの拒まず、去る者追わず。オンライン診療はそんな自由な診療の場にしたいと私は考えています。

たがしゅう