現在保険診療でオンライン診療を用いる典型的なケースとしては、
高血圧症や糖尿病などの慢性疾患で状態が安定しておりいつも1ヶ月に1回診察を受けて薬を取りにいくということを長らく続けているような状況で、
3回のうち2回は、わざわざ病院に行かなくても、オンライン診療を受けて薬の処方箋を自宅に送ってもらい、
その処方箋の期限が切れる前に、都合のいい時間に近くの薬局へ処方箋を持っていき、
薬局で実際の薬を処方してもらう、というパターンなのではないかと思います。
例えば上記のようなケース、その患者さんが感じるメリットって大きいのでしょうか?
3回に2回オンライン診療で通院の手間が省けるといっても、
調子が悪い時以外はずっとオンライン診療でサポートが受けられるのであればまだしも、裏を返せば3回に1回は今まで通りの通院を続けなければならないというわけですから、
それって患者さんにしてみれば、中途半端なメリットなのではないかと私は感じます。
さらには主体性を育むという観点から見ても、対面診療のオプションというイメージが拭えない診療体制だと思いますので、
相変わらず病気は医師に管理されているという感覚は残ると思うので、主体性の育成というオンライン診療ならではのメリットも消えます。
さらには処方箋が送られるのであって、実際の薬が自宅に送られて来るわけではないので、
結局近くの薬局へ出向くために時間を作らないといけないので、そこまで出向くのならもはや診察を受けた方が本人も安心なのではないかという気さえ起きてきます。
今それでもオンライン診療の方がよいと感じられるとすれば、それは対面診療の時間で患者さんに安心が与えられていないという可能性があります。
なぜならばその対面診療の時間をスキップしてまで薬をもらいたいと思っているというわけですから、
それは薬をもらうことだけが目的となっている診療、ということの裏返しだと思います。
だから少なくとも現在の保険診療のルールのままオンライン診療の発展はありえないと思いますし、
オンライン診療の可能性は従来の保険医療制度の枠組みの外に広がっていると私は考える次第です。
たがしゅう