オンライン診療において主として対象とする病気は慢性疾患だと私は考えています。
急性疾患においてはオンライン診療が分が悪いというのが正直なところです。
例えば、風邪を引いたので薬が欲しいといった場合、患者に触って診察ができないデメリットに加えて、
何とか正しい診断をつけたとして薬を郵送したとしても患者の手元にその薬が到着するのは1~3日後ということになります。
ということは、オンライン診察の時点と実際に薬が届く時点とでは症状は変わっている可能性が大です。
特に漢方薬のように使うタイミングが重要な薬に関して言えば、このデメリットはかなり不利だと考えざるを得ません。
強いて言えば、あらかじめ起こりやすい風邪のパターンが分かっている場合に予防的に患者の元に届けておき、
患者が自分の判断で適切なタイミングだと思ったときに飲むという常備薬的な使い方をするのであれば利用価値があるのかもしれませんが、
基本的には慢性疾患に対してオンライン診療での投薬は考えていくべきだと思っています。
慢性疾患をコントロールする時のターゲットとしては自律神経が鍵となると私は考えています。
ところが西洋医学中心医療ではこの自律神経を調整するアプローチはものすごく苦手としている所です。
というよりもむしろ自律神経の問題は軽視されている側面があります。
自律神経失調症という診断名がありますが、これは多くの医療者にとっていわゆる「ゴミ箱的診断」、
つまり他に何とも言いようのないつかみどころのない病名だという意義の少ない病名として捉えられている所が多いです。
しかし私はこの自律神経が失調する病態こそが、あらゆる病態を慢性化させていく主因ではないかと考えています。
これを放置するからこそ病気がどんどんこじれていき、次第に病気が不可逆的に進行していってしまうのではないかと思うのです。
だからこそ自律神経を改善させるようアプローチできる治療法に興味を持つのです。
漢方薬、ホメオパシー、アロマテラピーはいずれも自律神経へアプローチすることができる側面があります。
もっと言えば、食事とストレスをコントロールすることが自律神経調整の基本と言えます。
何をどう食べるかと、何をどう考えるかによって自律神経を整えて、
それで調整しきれない困難に遭遇した時に先述の自律神経調整へアプローチできる治療法を利用して困難を乗り越える、
そうした病気をこじらせないサポートをオンライン診療で提供していくことができるのではないかと私は考えています。
たがしゅう