平成30年4月より保険診療でも認められるようになったオンライン診療ですが、
保険診療で行うために守らなければならないルールが厳し過ぎるため、
現行ルールのままでは、適切にオンライン診療の可能性を広げていくためには自由診療の枠組みでオンライン診療を行うのが望ましいと私は考えています。
しかし自由診療の方は自由診療の方で、やり方を間違えればせっかくのオンライン診療の可能性拡大に水を差す結果にもなりかねないので、
特に国が定めているオンライン診療ガイドラインは熟読しておく必要があります。
不適切なオンライン診療の一例として、自由診療で例外的に対面なしでのオンライン診療が認められているED(勃起障害)の治療薬を扱うクリニックで、
「来院する必要は一切なし」などと宣伝し、国が定める原則初診対面のルールに逆行するような宣伝活動を行っているというケースがあります。
こうしたやり方の問題は、本来であれば対面診察によって見抜くことができた医学的な問題を見過ごしてしまう点であったり、
過度に手軽な医療へと誘導することによって、通常の診療機会を奪うことにもつながってしまうこと、などが挙げられると思います。
悪徳商法的なイメージが付きまとうことも正直あるかもしれません。
ただ全国の患者に対して治療の選択肢を提示すること自体は、私は悪徳でも何でもないと思います。
むしろ望ましいことです。今まででは地理的な事情で受診を断念していた人にも可能性が芽生えるということなのですから。
大事なことは対面にも応じる医師側の姿勢と、限界があることをわかった上で利用する患者側の理解だと思います。
オンライン診療を扱う医師が対面診療を一切しないというのはやはり問題です。
対面診療がやはり医療の原点であり基本だとは思うけれども、それが何らかの事情で叶わない患者に対しても限界はあるのだけれどオンライン診療というもう一つの選択肢を提示することができる、というスタンスであるべきだと私は思います。
従って、その是非を判断するのは医師側や国側などではなく、常に患者の方であるべきです。
患者にはとにかく「医師に任せておけば安心」というスタンスを見直してもらい、
「オンライン診療には限界がある、ただそれでも利用価値があると考え、デメリットも了解した上でニーズに合致する」という場合のみに利用してもらうという心構えを持っておいてもらいたいと思います。
そうすれば対面診療なしでのオンライン診療は十分成立する医療だと私は考える次第です。
ただし、そのためには医療者側の方は、
自身が提供するオンライン診療にはどういう特徴があって、どんな事には対応できて、何に対応できないかのか、
あるいは予め想定することができるデメリットなどについてなるべく具体的に明記しておく必要があるのではないかと私は思います。
たがしゅう