なぜ、今オンライン診療なのか

平成30年4月、オンライン診療が保険診療で認められるようになりました。

情報医療機器の発達、医師偏在に伴う過疎地域への医療不足など、様々な背景があっての制度転換が起こっているわけですが、

この保険診療で認められているオンライン診察は、あくまでも対面診療のサポート的な役割として位置付けられています。

基本は今まで通り顔と顔を付き合わせての対面診療が基本であって、何らかの事情でどうしても対面診療ができない、もしくは非常に負担が大きいという患者に限り、

なおかつ病状が安定していて、もしも急病になったとしてもおよそ30分以内で臨時受診できるという条件つきで、

さらにはいきなりオンライン診察にするのではなく、月1回の定期通院を少なくとも半年間は続けていること、

加えて条件を満たしてオンライン診察を行なった後も、3回に1回は対面診療をはさむこと、などといった厳しいルールを守ることが課せられています。

しかし私は思います。このオンライン診療のシステム、保険診療のルールに縛られることなく使い方を変えることでもっと多くの患者さんに利益をもたらすことができるようになるのではないか、と。

例えば、患者さんが糖質制限指導を受けたいと思っても、今は糖質制限を指導する医師は少数派です。

たまたま近くにそうした医師がいればよいですが、いなければかなり遠方だとしても通院を余儀なくされてしまいます。

しかしオンライン診療で糖質制限指導できる医師と繋がれるとしたらどうでしょうか。

全国どこにいたとしても、少なくとも地理的な理由が原因で通院ができなくなるという事態が解消されます。

「しかしもし何か起こったらどうするか。緊急対応などできないではないか」という声が聞こえてきそうです。

そこは発想を変えて、緊急対応はできないこと、一般的な検査なども行えないということ、それを了承してくれる患者さんのみを受け入れるのです。

言い方を変えれば、オンライン診療で医師が提示する医療プランを患者さんに選んでもらうということです。

当然、もしも急病を患った場合は患者さん自身で一般的な医療機関を救急受診するよう行動してもらわなければなりませんし、

もしも検査を希望される場合も基本的には同様です。つまり完全オンライン診療になることによって医師側の指示が制約を受けるため、

患者さんにはある程度主体的に行動することが求められます。そもそもオンライン診療を選択する段階から自由ですから、

例えば自宅の近くにはそこしか適した病院がないからそこに行くしかないといった不本意な強制力は働きません。

さらに言えば、オンライン診療では触れられない分、治療は基本的にカウンセリング指導が中心となりますので、

医療者側に治療を施してもらうのではなく、基本的には医師のアドバイスをもとに自らが考えて行動することが中心となります。

ですから完全オンライン診療は患者の主体性を育むのに適した診療スタイルだと言えるわけです。

そしてこの主体性こそが様々な病気を根治へ導くための重要なキーワードだと私は考えています。

そんなオンライン診療ではどんなことができるのか、どのような可能性があるのか、ということについて、

このブログで少しずつ考えていきたいと思います。

どうぞ皆様、宜しくお願い申し上げます。

たがしゅう