議論のように見えて議論ではない

1月27日の国会衆議院予算委員会で、オンライン診療についての議論が交わされる場面があったとブログ読者の方から情報提供がありました。

https://www.youtube.com/watch?v=WQ1x_YRJSRE
国会中継 予算委員会 2020年1月27日(月)

こちらの動画のオンライン診療に関する話題は03:33:59から7分程度議論されており、私も内容を拝見しました。

質問されていた議員さんの質問は「オンライン診療の保険診療適応のための条件の不合理さ」についてと「保険適応となっている対象疾患の拡大の必要性」についてでした。

具体的には「過疎地や無医村などオンライン診療は離れた場所にいる人に提供できる医療ツールなのに、ガイドラインの中で緊急時に概ね30分以内の人に行うように、と明記されているのは、オンライン診療を行う患者は病院の近くにいなければならないという話になってしまうが、この厳しい基準を今後見直す予定はあるのか」という質問と、

もう一つは「現在保険適応となっている対象疾患は限定されているが、対象外となっている疾患の中、例えば強迫神経症や不安障害など外出が困難な精神疾患などにもオンライン診療が適している疾患はあるはずだが、今後対象疾患を拡大していく予定はあるか」という趣旨の質問がなされていました。

それに対する厚生労働大臣の返答の要旨は簡単に言うと「有識者委員会でエビデンスを検証しながら話し合っていく」というものでした。

私は普段国会中継など見る習慣がなかったのですが、これをみて改めてここでは思い切った変化はまず間違いなく起こらないという印象を持ちました。

要するに、予め提出された質問に対して、準備された返答用の原稿があり、それを互いに読み合って無難なやりとりに終始するという掛け合いです。議論とは到底呼べない代物だと私は思います。

とりわけここでの注目はやはり出てきた「エビデンス」という言葉、そして「安全性」というキーワードです。

要するに国がオンライン診療を推進するためには「エビデンス」がないと無理だということです。「エビデンス」を出すためにはオンライン診療を実践しなければ出しようがないわけなので、

今のようにオンライン診療を行うこと自体に厳しい条件が設けられている現在の状況においてはエビデンスが生まれる余地がありません。従って、いつまで経っても「エビデンス」は出て来ずに、遅々としてオンライン診療の普及が進まないという未来が透けて見えてきます。

もう一つは「安全性」にこだわるがあまり、オンライン診療の適応疾患が拡大できないという点も大きな問題です。

私に言わせれば、現在主として行われている対面診療における西洋薬を中心とした投薬医療をそのまま同じやり方でオンライン診療へ適応することの方が危険なわけですが、

いわゆる慢性疾患で同じ薬を同じように出し続けている状況のことを「安全」だと捉えてしまっている節があるようです。

ということは話題に上がった強迫神経症や不安障害の病態を持つ患者さんは不安定だからこそ家から一歩も出ることができないわけですから、

この方々が考える「安全」の領域にこうした人達はいつまで経っても入れないということになります。

従って、いずれにしても「有識者委員会で話し合った結果、エビデンスも不足し、安全性も担保できないので、オンライン診療は今のまま慎重に進めていく」という結論に落ち着く未来が目に見えるようです。

「エビデンス」は新しく挑戦しない限り生まれませんし、「安全性」はやり方を変えなければ担保できません。何はともあれオンライン診療を動かさないことには進展しない議論です。

やはり自分で動かなければ何も変わらないだろうということを改めて感じさせられた国会でのやりとりでした。

たがしゅう

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