主体性がオンライン診療の可能性を広げる

自由診療でオンライン診療を行うのであれば、現行制度ではリスクの低い医療行為しかできないということを示しましたが、

よくよく考えればそれって大変望ましい医療の姿ではないでしょうか。

逆に言えば保険診療での対面診療ではリスクの高い医療行為が普段から行われているとも言えます。

だからこそ、オンライン診療が便利だからといって何かあったら大変だから、あまりオンラインに偏った診療はせずに、あくまでも対面診療のサポートにとどめておきなさいよ、というのがオンライン診療ガイドラインの趣旨となっていると思います。

ただリスクが低い医療は結構だけれども、そうなると治療効果もたいしたことのないことしかできないんじゃないの?という疑問を持たれる方もいらっしゃるかもしれません。

ところがリスクの高低と治療効果の高低は必ずしも一致しないのです。最たる例が糖質制限です。

糖質制限は私が知る限り、他のどの治療法よりも圧倒的で幅広く改善効果をもたらす治療法です。糖尿病治療とダイエット(痩身法)として認識されていることがほとんどですが、実際にはそれらにとどまらない多面的な治療効果をもたらします。

高血圧、コレステロールバランスの改善しかり、アレルギー性疾患の改善しかり、肌や歯の改善しかり、不自然な眠気の減少や集中力の向上しかり、精神疾患への治療効果しかり…、枚挙にいとまがありません。

それにも関わらず、糖質制限によって起こるデメリットは下痢や便秘、冷え(多くは一過性)、あるいは急激にやり過ぎた場合の頭痛・吐き気などのアシドーシス症状、尿酸の上昇傾向、あとはカロリー制限を一緒に行うなどの不適切な糖質制限や重度の糖質依存からの離脱症状など純粋な糖質制限のデメリットとは言えないものもありますが、いずれにしても適切に軌道修正すれば取り返しがつくものばかりです。

つまりローリスク、ハイリターンな治療だと言えると思います。まさに希望者だけを指導し、急変時に対応できない自由診療でのオンライン診療に向いている治療法です。

ただ今までの経験上、そうした糖質制限の多面的な治療効果は誰かに言われたからでなく、主体的に取り組んでいる人でないと得られにくい傾向があります。

心がどうであろうと、同じ糖質制限は糖質制限なのだなら治療効果は一緒でしょ?と思われるかもれませんが、違います。
心の在り方は身体にもたらす影響とむしろ密接に関わっています。

逆に言えば従来の対面型医療だと医師への依存心が強い人などで、例えば本当は糖質制限は嫌だけど先生が言っているから仕方なく糖質を控えているという心持ちの人では、同じ糖質制限をしても治療効果が半減してしまいかねないということです。

その点、オンライン診療なら受けるも止めるも自由選択ですから、少なくとも先生に無理矢理やらされて糖質制限を行うという状況は少なくなります。

対面診療では「本当は糖質制限に納得していないけど、先生の言うことを聞かないと薬を出してもらえなくなる(見捨てられる)かもしれない」という心理さえ働くかもしれません。

その点、オンライン診療でそもそも薬を出していない場合はその心配もなくなります。

とにかく患者さんに治療の主導権を握らせること、そのための医学的サポートを全力で行うというのがオンライン診療の大きな役割になってくると思います。

おそらく患者さんに主導権が握られた時の糖質制限の効果は、倍増するといっても過言ではないと私は考えています。

とにかく患者さんが持つ疑問に答え続け、最終的にはたいていのことを自分で問題解決できるレベルとなってもらうことが大きな目標となります。

主導権が握られれば大きな力をもたらす、という意味でもう一つ大きな潜在的治療効果を備えていると私が考えているオンライン診療におけるもう一つの柱が「ストレスマネジメント」です。

次回はこのストレスマネジメントがきちんと行われたらいかに多面的な治療効果をもたらすかということについて述べたいと思います。

たがしゅう

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