オンライン診療ガイドラインでは、
「オンライン診療に際しては原則対面診療を行ってから始めるのが望ましい」という趣旨の記載が書かれています。
安全を確保するためには正論のように思えますが、
それはやはり従来の受動的医療、即ち医師に絶対的な責任(主導権)がある価値観の中での理屈だと思います。
それがいかに強い制約であるかということは、少し患者さんの立場になってみればわかることです。
例えば自分が今、飛行機で本土まで3時間以上かかる離島に住んでいるとして、
その人が折角オンラインで遠隔医療を受けられるシステムが整ったというのに、
原則対面が必要だということになると、やはりわざわざ本土へ旅立たないと医療が受けられないという話になります。
しかも現行のガイドラインでは3回に1回は対面診療を行うようにとされていますので、
1回だけ行けば後はオンライン診療を利用できるということにさえなりません。
もっと言えば定期診察の場合、対面診療の際とオンライン診療の時とで医師側が得る情報がそこまで変化するかと言われたら、おそらくさほど変わりません。
下手すると電子カルテが発達した昨今、折角対面で出向いているのに触ることなく診察を終了する医師も少なくないのではないかとさえ思えます。
でも緊急の時には対面でないと対応できないではないかと思われるかもしれませんが、
緊急の時は対面だろうと、オンラインだろうと、文字通り緊急なわけですから、
対面診療を律儀に続けていたからといってその緊急を防げるわけではありません。
対面診療でみていれば起こらなかったであろうオンライン診療時の急変など私は存在しないと考えます。
急変は対面だろうとオンラインだろうとその場でできる限りの緊急対応を考えるより他にないと思います。
そうなるとオンライン診療において重要なのは、やはり利用する側の意識なのではないでしょうか。
自分が離島に住んでいるとして、オンライン診療を利用するとして、
そこに求められるのは自己管理の意識、何かあったら先生に診てもらうという意識でオンライン診療を使う発想は危険です。
なぜならば何かあったとしても先生診てもらうには3時間以上かけて飛行機で飛ばないといけないからです。
そこにはリスクを踏まえてオンライン診療を上手くハンドリングしながら使うという自己管理の意識が自然に芽生えてくるのではないでしょうか。
離島の場合を例に出しましたが、
別に本土に住んでいる人にも当てはまる話です。
オンラインで診てくれる医師が近くにいようと、遠くにいようと、
そもそもオンライン診療というものを健康自己管理の手段としてリスクも踏まえた上で自己責任のもとに利用するということであれば、
必ずしも対面せずとも利用価値のあるオンライン診療の可能性は広がると私は思います。
たがしゅう