オンライン診療における欠点は、私の考えでは大きく二つあります。
一つは救急対応ができないこと、そしてもう一つは検査が実施できないこと、です。
救急対応をしてあげられないというのは絶対的な欠点です。
医師としては救急対応を学んだ技術も活かせませんし、そこが医療の醍醐味だと考える医師も多いことでしょう。
ここについては、救急対応は従来の病院医療に任せるしかないと私は考えています。
オンライン自由診療の場は、あくまでも主体的に病気の克服、通院からの卒業をじっくりと目指そうという場ですから、
そもそも救急疾患を対象とはしていないということです。仮にオンライン診療で救急対応をしようにも、例えば薬を送っても数日後に到着するのでは意味がないわけですし、ビデオ通話で指示できる救急対応など極めて限られています。
それに私に言わせれば救急疾患に罹患することは、種々の生体機能がオーバーヒートして正常に機能せず自力で制御困難となってしまった状態ですので、
一旦他力が介入してでも元の状態に戻してからでないと、とてもではありませんが主体的医療など実践しようもないわけです。
逆に言えば、西洋医学中心型の現代医療は、自力で制御できない病態を他力で元に戻すという点では長けているのかもしれません。
しかし、この他力で元に戻すという発想では、根治は目指せないのです。だからオンライン診療での主体的医療の提供に価値があると思っています。
もう一つの検査ができないという点もなかなかネックです。
ただ、私は検査自体が治療を偏った方向へミスリーディングさせてしまうデメリットもあると思っています。
たとえば血液検査では何かビタミンの不足が判明したとします。
そうすると患者さんは症状の原因はビタミン不足のせいだと考え、それさえ補充すれば自分の問題は解決すると、原因を自分の外に追い求める発想ができてしまいます。
そうなるとよもや自分の心の在り方に原因があるとは考えにくくなるものです。
すなわち検査を行うことによって主体性が失われる側面があるということです。
だから自らが定めた明確な目的の下に検査をするというのであればよいですが、
特に漠然とした健康不安に対して何となく実施する検査は病気の原因を外に向けてしまう、その点において私は検査をあまりおすすめしません。
私は常日頃、体調が最良の健康バロメータということを申しております。
検査に頼るのではなく、体調をベースとすれば、その状態を量り知ることができるのは自分のみですし、そのメンテナンスも自分にしかできません。
従って、検査の代わりに体調を利用することを習慣づければ、これもまた主体的医療の定着に一役買ってくれるというわけです。
ちなみに、それでもどうしても検査がしたいという人は、血液検査だけでは最近は簡易血糖測定器でとるくらいの少量の血液で、
肝腎機能、コレステロール、HbA1cなど健診項目くらいの血液検査は専用キットの郵送で行えるやり方があると聞いたことがあります。
どうしてもオンライン診療で血液検査を希望するという方がおられたら、そうしたキットの導入も前向きに検討してみたいと思います。
ともあれオンライン診療の二つの欠点は従来医療側の視点でみると大きな欠点ですが、
主体的医療の立場でみると実は欠点というよりも、根治に向けて対象にすべきところではないという視点が見えてくると思います。
たがしゅう