私は糖質制限推進派であると同時に、自然重視型医療推進派でもありますので、
漢方薬を用いた治療を好み、患者さんにもよくおすすめすることがあります。
漢方では問診が重要なので、オンライン診療でもある程度の精度で処方を選択することは可能だと思うのですが、
漢方診療の一部である脈を診る、お腹を触るという診察手段が使えないというデメリットを生じます。
そうすると正確な漢方診療ができないのでオンライン診療で漢方薬を処方するのを諦めるというのは簡単ですが、
私は「ならば脈診、腹診を使わずに適切な漢方薬を選ぶにはどうすればよいか」という発想へ切り替えて、可能性を模索する方向へ動きます。
例えば、嘔吐・下痢の症状をみたときに、半夏瀉心湯という漢方薬を選ぶか、六君子湯という漢方を選ぶか迷う場面があります。
この二つを区別する決め手は通常の対面診療であれば、みぞおちの部分を触って冷えていなければ半夏瀉心湯(はんげしゃしんとう)、冷えていれば六君子湯(りっくんしとう)を選択するというテクニックがあります。
オンラインだとこのテクニックが使えませんが、この場合は本人に直接お腹を触れてもらって冷えるかどうか教えてもらうという方法が一つ考えられます。
ただ冷え症の本人には、自身の冷えが正確に感じられない可能性もありますので、可能であればその時近くにいる家族か友人にお腹を直接触ってもらって主観で構わないので冷えるかどうかを尋ねるという方法がもう一つです。
そのどちらも一致していれば信ぴょう性が上がりますが、もし自分でしか触れない場合は冷えているのに冷えを感じていないという可能性を否定できません。
その場合は本人に冷え症の自覚はあるかという問診、あるいは熱いお茶と冷たいお茶はどっちが好きかと尋ねて、「熱いお茶」と答える場合には冷えありと判断して六君子湯を選択するという形で代用できるのではないかと思います。
あくまでも現時点では私の頭の中での予想であって、実際の患者さんで成立するかどうかは経験を積み重ねないことには何ともいえませんが、
失敗を恐れずに、失敗を成功への糧と理解して、実践を積み重ねていければと思っています。
たがしゅう